10月9日のアル・ジャジーラ紙の報道によると、10月7日、ハマスの武装勢力はユダヤ人の祝日にイスラエル南部の町を襲い、軍事施設や空港を目標に5,000発ものロケットを撃ち込み、兵士や野外音楽祭に出席していた一般人を人質にもした。 10月9日のイスラエル側の発表によると、700何人かが死亡し、2,382人が負傷した。 これを受けて、イスラエル軍はガザ地区に対する報復空爆を開始した。 世界中でもっとも人口密度が高いガザ地区ではイスラエルがハマスの拠点を爆撃する度に一般庶民の間には膨大な数の巻き添え被害者が生まれる。 この一カ月間のガザ地区における死者数は11,000人を超えたとガザ保健省は報告している。 その約40パーセントは18歳未満の子供たちだ。
最新の報道によると、現在、下記にような状況である(原典:Israel-Hamas war live: Gaza’s two largest
hospitals shut amid nonstop raids: By Ted
Regencia and Lyndal
Rowlands, AlJazeera, Nov/13/2023):
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長はガザの病院が「悲惨で危険な」状況にあると警告し、未熟児を含めて、多くの患者が「悲劇的に」亡くなっていると述べた。
ガザの二大病院であるアル・シファ病院とアル・クッズ病院はどちらも閉鎖された。 イスラエル軍の狙撃兵はアル・シファ病院の周辺にいる人に対して発砲をし続け、何千人もの人々が病院の中に閉じ込められたままである。
国際赤十字委員会はガザ地区で民間人が避難している状況は「不安定で、決して安全ではない」と述べている。
EUのジョセップ・ボレル外交政策委員長は緊急の医療を必要とする入院患者の避難を可能にするために「一時停止」が必要だと述べた。
10月7日以降、11,100人以上のパレスチナ人がイスラエルのガザ攻撃によって殺害されたが、金曜日に主要病院との連絡が途絶えて以来、その数は更新されてはいない。 イスラエルでは、ハマスの攻撃による死者数は1,200人を超え、下方修正されている。
不幸なことには、国際世論が停戦を呼び掛けているものの、交渉のテーブルにつくために求めている両当事者の条件は噛み合わない。
ここに、「リークされた外交官からの電報によると、米国がイスラエル支持を表明したことを受けて、アラブ世界においては反米感情が急増することを警告」と題された記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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米国の外交官らはジョー・バイデン大統領に米国のイスラエル支援は「一世代にもわたって、アラブ系米国民を失うことになる」と警告した。
最近、ふたつの外交公電が米メデイアにリークされた。 それらはガザにおけるイスラエルの血腥い軍事作戦に対する米国の支援は米国のイメージを阻害し、イメージが修復されることは決してないかも知れないと警告している。
「メッセージングの戦場ではわれわれはひどく負けている」と、水曜日(11月8日)にオマーンの米国大使館から発せられた電報が述べている。 同電報はイスラエルに対する米国の強力な支援が「戦争犯罪の可能性があると考えられる事柄について物質的・道徳的責任がある」と見なされると警告している。
この電報はホワイトハウス国家安全保障会議、CIA、FBIの複数の高官に宛てられたものであった。
エジプトの米国大使館から流出したもうひとつの電報は「バイデン大統領のパレスチナ人に対する残酷さと軽視は歴代の米国大統領を凌駕している」という地元紙の社説を引用している。 この電報はイスラエルが、最近、世界中から強い批判の的となって、イスラエルの軍事行動に対する世界的な反対の高まりを反映したものである。
しかし、流出した外交文書は、ジョー・バイデン米大統領が中東の同盟国(つまり、イスラエル)への揺るぎない支持を表明したために、アラブ世界での批判が米国にも及んでいることを強調している。 米国大統領は、最近、木曜日(10月9日)の記者会見でこの件について質問された際、ガザでのイスラエルの停戦は「あり得ない」と主張した。
ガザの保健省によると、ガザ地区の死者数は、最近、11,000人以上 となり、そのうち少なくとも 4,500人が18歳未満で、国連事務総長は包囲された地域を「子供たちの墓場」と呼ぶようになった。 国連は、ガザ当局が発表する死者数は過去において正確であったことが証明されていると指摘している。
最近の報道で、イスラエルがこの飛び地を包囲する中でごく限られた量の人道支援しか許してはいないことから、230万人のガザ住民は大量飢餓の瀬戸際となる可能性があると警告している。
これらのリークされた電報は、米国在住のイスラム教徒の間ではバイデン大統領への支持率が劇的に低下していることを示す報道の真っ只中に公開された。
「われわれは彼(バイデン氏)に、即時停戦を直接呼びかけないならば、2024年にわれわれの票を得ることはできないであろうとわれわれの個人的な立場を伝えた」と、米イスラム関係評議会(CAIR)のニハド・アワド事務局長が述べた。 広報担当者はバイデンがパレスチナ人を「裏切り」、ガザで「大量虐殺」を行うことを許したとして非難した。
「彼について観察される姿はイスラエル国家に対する完全に一方的な支持だ」とアワドは述べている。
アラブ・アメリカン・インスティテュート(
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これで全文の仮訳が終了した。
パレスチナとイスラエルの間には長い抗争の歴史があり、何十年にもわたって血腥い応酬、そして、応酬に対する新たな応酬が繰り返されてきた。 それらの一連の過去の事実を考えると、パレスチナ人とイスラエル人との間には互いに深い憎悪の念が存在していることについて第三者は容易に理解することができる。 とは言え、この
欧州では週末には多くの都市で反戦デモが繰り返されている。 土曜日(
一方、
著名な調査報道ジャーナリストであるグレン・グリーンワルドは最近の反戦デモを次のように描写している。 私は彼の主張をどこかで読んだ。 それが掲載されていたウェブサイトを探したが、見つけ出せなかった。 彼の言葉を直接転載できないのは残念であるが、その要旨はこうだ:
多くのデモ参加者は「イスラエルが悪い」とか、「パレスチナが悪い」と主張しているわけではない。 彼らはガザ地区における余りにも悲惨な人道危機に憤っているのだ。
グレン・グリーンワルドは良く言ってくれた。 まったくその通りだと思う。 読者の皆さんはどうお思いであろうか?
ロシア・ウクライナ紛争にしても、ハマス・イスラエル紛争にしても、インターネット上で毎日飛び交っている情報は余りにも多い。 たとえこれらのテーマについて個人的に関心を持っているとしても、毎日配信される記事をくまなく覗いてみることは物理的に不可能に近い。 私自身は毎日が日曜の身分であるから、かなり暇がある方だ。 だが、仕事を持っている読者の皆さんは自由に使える時間は限られていることであろう。 そういう意味では、グレン・グリーンワルドの言葉は今起こっている出来事の特性を実に上手く要約していると思う次第だ。
参照:
注1:Leaked Cables Warn of Growing Anti-American
Rage in Arab World Amid US’ Israeli Support: By Sputnik, Nov/10/2023
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