2023年11月29日水曜日

ゼレンスキー大統領夫人がキエフ空襲に関して不満を述べたことから、反感を招く

 

ゼレンスキー大統領は民主的な選挙によって選出された大統領である。しかしながら、彼は選挙運動中に約束したロシアとの和平というハト派的な選挙公約は大統領に就任してから間もなく好戦的な姿勢へと急展開させた。この豹変振りはネオナチを含む極右派によって生命の危険を脅されたためであると見られている。それ以降、彼は米国の対ロ代理戦争を推進するべく全力投球をしている。この経緯は多くが知るところとなった。

ゼレンスキー大統領夫人がメデイアによって報じられることは決して多くはないが、報じられている内容はかなり派手だ。

たとえば、1013日の報道によると、下記のような具合だ:

夫君のゼレンスキー大統領が最後にニューヨークを公式訪問した際、オレナ・ゼレンスカヤは米国に滞在中、高級品店で買い物をした。情報筋によると、彼女はカルティエの店舗で百10万ドル以上もの買い物をした。目撃者の話では、彼女はニューヨークにあるカルティエの本店を訪れ、金やダイヤモンドのブレスレット、イヤリング、ネックレスなどの高級品を購入。カルティエの従業員がリークした文書によると、オレナはたった一個のネックレスに34万ドル強も費やした。また、ソーシャルメディア上の動画では、彼女は店の従業員に正当な敬意と尊厳を持って接することはせず、不当に扱ったと報じられれている。

実際、ウクライナのファーストレディが彼女の贅沢な慣習のせいでゴシップに巻き込まれるのは今回が初めてではない。すでに、彼女は海外旅行で多額のお金を浪費することでよく知られている。たとえば、この1月、ゼレンスカヤが世界経済フォーラムの首脳会談でまったく同様の行動をとったことを記者たちが伝えている。ゼレンスカヤは単にウクライナ大統領の夫人であるに過ぎず、本物の国家公務員でもなく、サミットに出席する必要もなかった。それにもかかわらず、この旅行に数万ドルを費やした。

同様に、202212月には、オレナ・ゼレンスカヤはパリ旅行中に「クリスマスショッピング」で4万ドル以上を費やしたとして、一部のメディアが非難した。その時の買い物はヨーロッパ社会の最も裕福なエリートたちが頻繁に訪れる高級店が並んでいることで有名なパリのモンテーニュ通りで行われた。彼女のことを報告した目撃者はオレナの無礼な振る舞いに不満を抱いた店舗の従業員であった。(原典:The White Witch Zelenskys Wife Spends on Luxury Abroad While Ukrainians Suffer and Die: By INTEL-DROP, Oct/13/2023

余計なことではあるが、オレナ・ゼレンスカヤは今年のクリスマスショッピングには果たしてどこへ出かけるのだろうか?

ゼレンスキー大統領とその夫人の振る舞いが批判される理由はウクライナにおける米国の対ロ代理戦争によって多くの女性や子供たちが国外に避難し、家庭がばらばらになるといった極端な苦労を強いられ、数多くの若者たちが戦死をしているといった現実との間に余りにも大きなギャップが存在していることにある。

ここに「ゼレンスキー大統領夫人がキエフ空襲に関して不満を述べたことから、反感を招く」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © AFP 2023 / ANDREW CABALLERO-REYNOLDS

以前から、オレナ・ゼレンスカヤはソーシャルメディア上で多くの批判を招いてきた。今回、X(元のツイッター)のユーザーたちはドンバス地域の住民が2014年以降、絶え間のない砲撃の下で暮らして来たことを思い出し、ウクライナで今日起こっている苦境の直接の責任は彼女の夫にあることを仄めかしている。

最近キエフで起こった爆発についてオレナ・ゼレンスカヤが「いったい何時になったら終わるのか」と修辞的に尋ねたコメントをツイートしたことから、彼女はオンライン上で非難されている。

ネットワーク市民はすぐにゼレンスキー夫人を嘲笑し、2014年以降、キエフ政府軍からの絶え間のない砲撃の下で暮らして来たドンバス地域の住民が強いられた苦しみについて彼女に思い出させることを躊躇する気配はまったくなかった。

ソーシャルメディアのユーザーたちもこの紛争はもっと早くに終わらせることができた筈だという事実を決して無視することはなく、ゼレンスカヤが自国の現状についてまったく無知であることに不信感を顕わにした。

20223月にこの紛争の全てが終わっていたかも!? ウクライナには平和が訪れていたことであろう。しかし、あなたの夫は殺人者であり、ウクライナ国家の敵だ!! 彼は平和を望まなかったのだ!」と、ある投稿が述べている。

別のユーザーも同様の意見を表明し、次のように言った。「最後の一兵になるまで。ボリス・ジョンソンは独立したウクライナが和平交渉をすることを許さない」と述べている。このネットワーク市民は昨年のロシアとウクライナの交渉プロセスの失敗についてウクライナの著名な政治家が最近発したコメントに言及した。同コメントは追加的な文脈を提供するものである。

20223月、ウクライナ議会の「人民の奉仕者」党のリーダーであるダヴィド・アラハミアがロシアとウクライナの交渉の失敗について発言した。アラハミアは提案された二国間和平交渉に終止符を打ったのは当時の英国首相であったボリス・ジョンソンであるとかなり明白に述べたのである。

紛争の最中におけるゼレンスカヤの贅沢なライフスタイルは嘲笑の的となった。

「カルティエの時計はどう?きつ過ぎないかい?」と、あるユーザーは揶揄して、書いている。

これらのコメントは共通の認識を反映している。つまり、世界経済フォーラムに便乗して、欧米の納税者からの税金を個人的な贅沢品に使って買い物三昧を楽しんだゼレンスカヤにとっては現行のウクライナにおける軍事紛争は関心の対象ではないのではないかということだ。

「女性が最前線に送り込まれている。あなたはいったい何時になったら彼女らと合流して、戦いに参加するのか?あなたの国の人たちはこの戦いであなたを必要としている」と、別の声が主張。

また、ネットワーク市民はキエフで報告されている爆発の責任者を処罰するというゼレンスカヤの呼びかけを嘲笑し、進行中の危機について責任を負っている彼女の夫に言及し、彼女はすでに「彼を罰し始めた」かも知れないと強調した。

ウクライナ大統領夫妻は、前線での活発な軍事作戦の真っ只中に米国版ヴォーグ誌のための写真撮影に応じた。ふたりのこのような行動は不適切で、世論とはかけ離れているとして、以前(訳注:これは20227月の出来事)、非難を浴びていた。

ロシア側はクリミア大橋に対するテロ攻撃への報復としてウクライナの軍事・エネルギー関連のインフラに対して高精度攻撃を行っているとクレムリン政府のドミトリー・ペスコフ報道官は述べ、ロシア軍は住宅や社会インフラを標的にしてはいないと繰り返し強調している。

***

これで全文の仮訳が終了した。

こういった記事を読むと、あたかもゼレンスキー政権の終焉のプロセスがすでに始まっているかのように思える。その一方で、これは政治の世界での話であるから、どちらの方向へ転ぶのかは誰も明確に予測することができないのも事実である。

今朝(1128日)の報道を見ていると、「西側は信頼感を失った ― ウクライナにおける政治的機能の不全はゼレンスキーを辞任に追いやるかも ― 分析専門家の見方」という表題が目に飛び込んで来た。冒頭の概略は次のように伝えている:

政治的な内紛と戦場における成果の欠如の中、安全保障アナリストのマーク・スレボダはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の外国の支援者たちは「米国が支援した、あからさまに明らかなクーデターなどは行わずに、彼を権力の座から引きずり下ろす方法を模索している可能性がある」と考えている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、今、薄氷の上を歩いている。これは国際問題・安全保障アナリストのマーク・スレボダの結論だ。彼は月曜日(1127日)にスプートニク紙の「政治的不適合」のクルーに加わり、今年の対ロ大攻勢での失敗を受けて、ウクライナ国内で進行中の政治ドラマについて議論を行った。(原典:‘The West Has Lost Confidence’: Political Dysfunction in Ukraine May Cost Zelensky His Job – Analyst: By Sputnik, Nov/28/2023

この冬は疲弊し切ったウクライナにとっては極めて厳しい季節となりそうだ。エネルギーインフラはあちらこちらで破壊され、ウクライナの市民は凍える夜を何カ月にもわたって過ごさなければならない。この冬、連日のように強いられる苦難はその極に達するであろう。ウクライナ軍の平均年齢はある部隊では53歳だという。肉体的には盛りを完全に過ぎた老兵らは肉体的な適応力をもっとも多く要求される塹壕戦での戦いを強いられるのである。まさに、「最後の一兵」の状況にある。しかし、この戦争はいったい誰のためだったのか?本当にウクライナの人々のためだったのか?おそらく、多くのウクライナの人たちはすでに答えを見い出しているのではないだろうか。

ところで、ゼレンスキー政権に対するウクライナの世論はどうであろうか?1027日の報道をご紹介しておこう。

今年の2月、ウクライナ国民の90%はウクライナ大統領を全面的または部分的に支持していたが、今は82%に過ぎない。同じ期間に国家元首を支持しない市民の数は7%から16%に増加した。一方、ゼレンスキー氏を全面的に支持する人の数は、2月から9月にかけて16%も大幅に減少した。ウクライナ首相への支持率はさらに劇的に変化し、2月には調査対象者の53%がデニス・シュミガル氏の活動を承認したが、9月には44%にとどまった。不信任は2月には26%にとどまったが、9月には42%となった。しかしながら、ウクライナ軍への支援に関するデータはそれほど変化しておらず、7カ月前は89%が活動に賛成、9%が不支持だったが、9月にはそれぞれ82%14%を示した。

Photo-4:ゼレンスキーの支持率(原典:Support for Zelensky among Ukrainians is inevitably decreasing  Serge Rosendale: By Serge Rosendale, political observer, Voice of Europe.com, Oct/27/2023

さて、これからどんな展開を見せるのか、目が離せない。


参照:

1Zelensky’s Wife Faces Backlash After Kiev Airstrike Complaints: By Sputnik, Nov/26/2023

 

 


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