ここに「カリフォルニア州立大学は科学やデータに反する決断をした」と題された記事がある(注1)。内容は新型コロナの大流行に際して同大学が採用したロックダウン政策は間違っていたとして批判したものである。つまり、大学側は科学やデータに根ざした行動を取らなかったとして非難をしたものだ。
カリフォルニア州立大学は極めて大きい。ウィキペディアによると、23カ所にキャンパスを持ち、学生数は45万8千人、教授や職員は5万6千人にも達するという。議論の焦点は45万人超の学生の登校を中断することがはたして新型コロナ対策として科学的に適切であったのかどうかという点にある。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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これは、ニューヨーク大学の教授がツイッターで述べているように、コロナ禍ではロックダウンで学校に行かなくなったことの方が学校に通い続けた場合よりも学生たちへの危害が大きかったことに2023年の今頃になってようやく気づいたことを受けて、それに関して発言するものである。彼は、彼らが不完全な情報の下で活動していたと推測している。「そこから何かを学ぼう」と彼は言った。また、彼は彼の子供の学校の役員でもあり、学校側に厳しいロックダウンを実行することを望んだ。こういった連中は決して権力の座に就くべきではない。弱者の立場にある子供たちを殺したことについての謝罪は聞きたくはない。ただ脇に下がって、他の人に指導権を引き渡して貰いたい。恐怖の中で生活し、政府のたわごとによって簡単に操作されてしまうならば、あなた方は指導権を発揮することなんてできない。
私の主張を証明するために、ここに2020年5月の別の記事がある。
下記の記事は2020年5月13日に書いたものだ。カリフォルニア州立大学の学長が、大学生には決して致命的とはならないウイルスのために、大げさにも5月の秋学期を閉鎖したことに私は、当時、非常に苛立った。彼は自分の行動から生じるであろう負の外部性についてはこの世の何についてさえも気にかけはしなかった。家で何ヶ月もの間何もすることがなく、何人もの学生たちは(ヤクやアルコールを)過剰摂取することになろう。依存症はどの程度発生するか?離婚はどうか?鬱病は?致命的な自動車事故は?社会の正常なリズムが乱れると、メンタルヘルスや身体的健康に関して貧困やその他の要因によって弱者の立場にある多くの学生にとってそれは致命的となる。ロックダウンのことを聞いてすぐに私はこのことについて気付いていたが、権力の座にある人たちはいったいどうしてそのことを考えてもみなかったのであろうか?
繰り返しになるけれども、コロナ禍が始まってわずか数週間後の2020年5月中旬の文脈でこれを読んでいただきたい。
新型コロナ感染症と闘うための決定や政策は科学とデータに基づいて推進するとわれわれは繰り返して聞かされた。また、新型コロナに関する政府の政策決定に異議を唱えることは反論の余地のない事実に異議を唱えるようなものであるとも。
政府の省庁はデータの分析を行い、政策や法律となる緩和策を選択すると述べていた。
カリフォルニア州立大学(CSU)のティモシー・ホワイト学長は5月12日(火)にCSUのキャンパスを2020年の秋学期まで閉鎖すると発表した。
2020年5月12日時点のCDCのデータは、カリフォルニア州での(死因別の)カテゴリーのみについて言えば、15歳から24歳までの年齢層に関して2月1日から5月2日までの週については次のように述べていた:
新型コロナによる男性の死者はゼロ、インフルエンザによる男性の死者は1人、肺炎による男性の死者は15人であった。このデータから、肺炎による死亡者15人全員が新型コロナには関連してはおらず、インフルエンザによる死亡でもなかったことが確かだ。
新型コロナ、インフルエンザ、あるいは、肺炎のひとつ以上の死因に関連する女性の死亡数は13人である。このデータはみっつの死因別カテゴリーを区別してはおらず、新型コロナがこのグループの女性に死亡を引き起こしたかどうかは不明である。
この年齢層では非ヒスパニック系またはラテン系の民族における新型コロナによる死亡者はゼロである。ヒスパニック系またはラテン系のカテゴリーでは新型コロナやインフルエンザ、肺炎の中でひとつ以上に関連する肺炎による死者数は14人、合計死者数は19人となっている。誤解のないように言っておくと、このカテゴリーでは新型コロナによる死亡者は最大で5人までしかおらず、以前のデータ分析でのデータの断面を考えると、死亡者は女性となる。
纏め ― カリフォルニア州での15歳から24歳までの年齢層では、新型コロナ関連の死者数は1人以上5人以下であって、女性であり、ヒスパニック系またはラテン系である。
2020 年 5 月
12 日時点の CDC のデータには、米国全体および準州のカテゴリでの15
歳から 24 歳までの年齢層、および、 2 月
1 日から 5 月 2 日までの週については次のように記載されている:
新型コロナによって48人の死亡が記録されている。
肺炎によって143人の死亡が記録されている。
インフルエンザによって41人の死亡が記録されている。
新型コロナと肺炎の死亡者のうちで18人は重複しており、死因は新型コロナとは無関係であった可能性がある。
纏め ― 米国およびその準州ではこの期間での15歳から24歳の新型コロナ関連死亡者は48人以下であった。
「Journal of Pediatric Nursing」誌は「Children are at
risk from COVID-19 (Fry-Bowers, 2020)」という表題の記事を発表した。この記事は新型コロナによる直接的な健康リスクを否定し、子どもたちに害を及ぼしているのは緩和策による経済的・社会的混乱であると主張している。この記事は大学の10代から20代前半の学生たちに適用することが可能だ。学生たちは学校にいる時よりも家にいる時にトラブルに巻き込まれたり、家庭内暴力を受けたりする可能性が高くなる。ほとんどの学生はロックダウン中には出かけて行く仕事はなく、何らかのトラブルに巻き込まれたり、落ち込んだりする無駄な時間が存分にある。
ランド・ポールは、2020年5月12日の上院公聴会で、新型コロナから回復した人は抗体を持っている可能性が非常に高く、すぐに新型コロナに再感染したり、他の人に新型コロナを感染させたりすることはないことにファウチ博士からの同意を引き出した。皆さんはこの「回復した」人たちのグループは「集団免疫」における「集団」と呼ばれるのを聞いたことがあるかも知れない。ホワイト学長は学生たちが大学に通うのを阻止することによって新型コロナによる死亡リスクがほぼゼロの大規模な集団が集団免疫を獲得し、社会の残りの部分の利益になることを妨げている。カリフォルニア州の何十万人もの学生たちが1学期または2学期(8〜10カ月)にわたって免疫を獲得し、その後、健康体で社会に復帰し、残りのカリフォルニア州の人たちのために大きな緩衝材となることを想像してみていただきたい。
結論:
学生たちは2020年の秋学期に授業に参加しても、彼らが新型コロナで死亡するリスクはほぼゼロである。
学生たちが大学在学中に大流行に遭遇した場合、彼らは非感染性の回復者としての緩衝グループを形成する。これは、彼らが学年を終えて大学から戻ってくる際に社会にとって大きな利益をもたらすであろう。「大流行」は症状が軽い陽性者をもたらし、その症状は一般的なインフルエンザよりも軽度である。
2020年5月12日、CSUのホワイト学長は科学に従わず、データにも従わなかったことから、利益よりも害を及ぼす可能性が極めて高い決断をした。彼はファウチ博士の話を傾聴している。同博士は上院の公聴会で疫学だけに注目し、他の外部性は考慮していないことを認めた。ファウチ博士は科学者として、また、医師として大統領に助言し、それが彼の仕事のすべてであると述べた。彼は心理学や社会学、経済学、または、彼の特定の範囲には関係のないその他の領域に関するインプット情報は持ってはいない。彼は緩和策に関しては専門知識がないとは明言してはいない。負の外部性についても研究したことはなく、命を救うよりも多くの命を失うかどうかについては彼には分からない。
ホワイト学長は科学やデータに関する理解を欠き、科学とデータに反する決断をしたためにひどい間違いを犯した。
参照:
Fry-Bowers, E. (2020-05-03). Children
are at risk from COVID-19. Journal of Pediatric Nursing. https://www.pediatricnursing.org/article/S0882-5963(20)30317-1/fulltextから入手。
Pereira, A. (2020-05-12). CSU schools to
keep campuses closed through fall semester, chancellor says. SFGATE(訳注:サンフランシスコに本拠を置くニュース関連のウェブサイト). https://www.sfgate.com/education/article/CSU-schools-to-keep-campuses-closed-through-fall-15265534.phpから入手。
データはcdc.govから入手した下記のファイルに由来:
https://data.cdc.gov/NCHS/Deaths-involving-coronavirus-disease-2019-COVID-19/ks3g-spdg
https://data.cdc.gov/NCHS/Provisional-COVID-19-Death-Counts-by-Sex-Age-and-S/9bhg-hcku
https://data.cdc.gov/NCHS/Weekly-Counts-of-Deaths-by-State-and-Select-Causes/muzy-jte6
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これで全文の仮訳が終了した。
この記事によると、新型コロナ対策の決定においてホワイトCSU学長が大きな間違いを犯したことは明白である。2020年5月当時に入手可能であったCDCのデータを正確に理解していたならば、キャンパスを閉鎖し、45万人強の学生を自宅待機にさせる必要はなかった。10代から20代前半の学生は新型コロナに感染するリスクはゼロではないものの、非常に低いことが分かっていた。少なくとも、州全体のリスク対効果比を考えるべきであった。
ホワイト学長の決断は結果的には科学的であったとは言えそうにない。そこには州政府からの強い指導があったのではないか。カリフォルニア州は民主党系の知事によって牛耳られており、新型コロナワクチン推進派の急先鋒であった。
この記事によって、プロパガンダによって恐怖心を植え付け、ワクチン接種を義務化させるという製薬大手側の金儲け戦略が巧妙に展開され、具体的な事例としてカリフォルニア州立大学が決めた策を見ると、同大学の経営陣がどのように踊らされていたのかが手に取るように分かる。これと同じような状況は米国内だけではなく、世界中で起こった。当時、ワクチンの長期的な安全性について危惧を表明すると、当人は陰謀論者扱いされた。今は、陰謀論者だとレッテルを貼っていた連中こそが真の陰謀論者であったことが判明しつつある。
コロナ禍について過去の諸々の動きを冷静に振り返って見ると、結果として、当時の状況は犯罪に近いと言えるのではないか。真の犯罪者、あるいは、政策決定者が究明されずに、世界がこのまま何事もなかったかのように進んで行くとしたら、何という奇妙な世界にわれわれは、今、住んでいるのであろうか!?!
参照:
注1:CSU Against
Science & Data: By COQUIN DE CHIEN,
Oct/28/2023
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