2023年10月15日日曜日

メデイアは修正をしたが、血生臭い出来事に関する虚偽情報はすでに害をもたらしてしまった

 

107日、パレスチナのハマス武装勢力はイスラエルにミサイル攻撃を行い、イスラエルの占領地域へ武力侵攻した。さすがのイスラエルの諜報機関もこの攻撃についてはまったく予知してはいなかったという。一方では、モサドがハマスの動きについてまったく予知し得なかったのはいささかおかしい、これには裏があるのではないかといった憶測も出ている。

何時ものことながら、西側のメディアの報道には頼り切れない面がある。今回の出来事も例外ではない。つまり、今までの歴史的な文脈が完全に断ち切られて、この出来事に関する報道には昨日突然起こったかのような姿勢が見られるのである。

ここに「メデイアは修正をしたが、血生臭い出来事に関する虚偽情報はすでに害をもたらしてしまった」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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イスラエルとパレスチナの間の紛争については、紛争がいつ始まったのか、それはいったい何なのか、等をめぐって誤解がたくさん存在する。ミュージシャンであり活動家でもある人物はスプートニクにこう述べている。「このような情報操作は紛争に関する重要な真実を隠してしまう。米国はもはやイスラエルの安全を保証することはできない」と。

ハマスは土曜日(107日)に近くのイスラエルの町を攻撃するためにガザ地区から脱出して、奇襲攻撃を開始した。それ以来、ハマスが犯したという残虐行為について馬鹿げた報告がメディアを通して広まった。1,000人以上のイスラエル人が殺され、大多数は民間人であったが、ハマスの過激派はユダヤ人の赤ちゃんの喉を切り裂いたことや、国境の入植地でユダヤ人女性たちをレイプしたこと、等、もっとも過激な主張の多くは、その後、撤回された。

イスラエル領土からパレスチナ過激派を撃退した後、イスラエル国防軍(IDF)は、これまでに1,400人以上を殺害し、人口密集地域への地上攻撃の可能性があるため数十万人の軍隊を集めようとしているハマスの組織を破壊することを目的としてガザ地区への大規模な空爆を開始した。

米国のラッパーであり、活動家でもあるイモータル・テクニックは金曜日(106日)にスプートニクに対して、メディアによる物語の操作は一方が他方に対して犯した残虐行為など、特定の出来事の文脈について国民には限られた理解を与えることを含めて、イスラエルとパレスチナの紛争に長い間取り組んできたと語った。

「つまり、政治においては、ある国やその衛星国が残虐行為を犯したとき、それは特に強調されることはない。だが、彼らの反対側が国際法に違反したり、犯罪を犯したりすると、それは何日にもわたって大きな見出しになる。そして、その犯罪行為は真実であるかも知れないし、真実ではなかったことが後程判明することもある」と彼は言う。

「たとえば、シリア紛争では、違法な弾薬を使用していることが皆が分かるまで、いったい誰が化学兵器を使用していたのかについての報告はまちまちであった。そして、ハマスが40人もの赤ちゃんを斬首したといった話をする。昨夜(1011日)、イスラエル軍はこのことについて事実を確認することはできなかったという報告書を発表した。今、彼らは赤ちゃんに関する話を完全に撤回したのである。」

「ところで、これは残虐行為はまったくなかったという意味ではない。これは殺害された人はいなかったという意味でもない。しかしながら、これは、間違いなく、ある意味で、あるグループの人々には同情や共感を感じながらも、別のグループの人々を完全に悪魔化するように情報操作が成されていることを意味している。そして、これは米国のメディアではよくあることだ」と同活動家は指摘する。

「昨日始まったわけではない」:

別の情報操作の手法はメディアが紛争の歴史などの特定の出来事が持っているより大きな文脈を無視することにあると同ラッパー兼活動家は述べている。

「過去75年間、ガザやパレスチナ全土で人々が殺害されてきた。だが、連中はこの紛争は昨日始まった振りをしたいのだ。昨日、あるいは、3日前に始まったわけではない。これは信じられないほど長い間続いていることなのだ。」

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関連記事:Holocaust Comparisons Seek to ‘Exceptionalize’ Hamas Violence, Not Contextualize It: Oct/12/2023

「しかし、これが何年も続いているとしても、『ああ、この紛争は何千年も前からのものだ』と誰かが言うことに害をもたらすことを理解しておくことが重要だ。これこれの場所では何千年も前から戦争があったと言うと、あなたはヨーロッパのどの地域を指さしてでもまったく同じことを言うことが可能だ。しかし、相違点がある。それは「宗教紛争」として組み立てられようとしている点にある。だから、それは間違いだと思う。なぜならば、それはシオニズムに反対し、ガザという違法な野外刑務所に反対している何百万人ものユダヤ人を消し去ることになるからだ。また、たまたまキリスト教徒であるパレスチナ人が20%も居るという事実をも消し去ることになる。そして、彼らの間で何人かがガザで死にかけている。だから、われわれはそれを何らかのラベル付けをするかどうかについては非常に注意深く判断し、今起こっているこれらすべてのことにある種の歴史的文脈を提供する必要が常にある。」

「一生にわたって」誤った情報を繰り返す人もいる:

この紛争についてのフェークニュースがメディアを通じて広まっているという問題に目を向けると、不滅のテクニックはナチスのプロパガンダ責任者であったヨーゼフ・ゲッベルスに一般的に由来する引用を思い出さざるを得ない。「嘘は何回でも繰り返せ。すると、それは真実となる。」

「嘘が何度も繰り返されると、それがいったい何であったのかに関してほとんど真実として受け止められる。それで、あなたの聴衆が理解するためにも、本件を歴史の文脈から眺めてみよう。9/11の後、ツインタワーの崩壊を見て、歓声をあげているパレスチナの子供たちを示す動画が出回った。後になって、その動画は1992年のものであり、例の子供たちは亡命先から帰還したパレスチナ解放機構の指導者ヤセル・アラファトを歓迎するものであることが判明した。これはよく起こる情報操作の類であって、実に嫌らしい掲示でもあった。なぜならば、その時点では誰も気にも留めなかったからだ。米国人は激怒した。彼らは不意を突かれたと感じた。アルカイダ*の指導者オサマ・ビンラディンがCIAで働いたことがあるかどうか、あるいは、政権の打倒を支援するという点においては彼の仕事はいったい何であるのかについての会話はまったくなかった。」

「こうして、プロパガンダがひとたび公開されると、それによる被害はすでに発生していると私は考える。今や、「ああ、ハマスは赤ん坊を斬首した」と今後一生にわたって繰り返す人たちがいるだろう。イスラエル軍自体が表へ出てきて、それは真実ではなかったと表明したことなんて彼らにとってはもはや重要ではないのである。彼らはそれを永遠に言い続ける積りだ。残念ながら、この状況がもたらす長期的な影響について話すとき、これとは何の関係もない人々が、今や、報復やあらゆる種類の暴力の標的となる状況について話しをすることになるのである」と彼は言う。

「だから、これはパレスチナの人々だけではなく、近隣の国々にいる他の人たちにも影響を与えると思う。これは別個のトピックだ。戦争が縮小されたり、当事者が即時の解決策を見い出したりすることがなかった場合、この戦争は拡大する可能性が高い。つまり、イスラエルはすでにハマスにドローン技術を与えたとしてイランを非難している。地上侵攻が発生した場合、ヒズボラはイスラエルとの戦争に参加すると宣言した。そうは言っても、それは、また、レバノン全体がおそらくこの紛争に引き込まれ、シリアの残りの地域も紛争に引き込まれることを意味するであろう。」

「米国はもはやイスラエルを防護することはできない」:

この点こそがこの地域の多くの人たちを悩ましている点だと思う。つまり、彼らがパレスチナの支持者であろうと、イスラエルの支持者であろうとも、この番組を聞いて、目を丸くして、「やあ、俺は単に反対側の言うことを聞いてみたいだけだ」と言っている。ご存知のように、彼らが攻撃されたということだけではなく、彼らはこの恐ろしいニュースに同意する必要があのだ。しかし、われわれが今日言おうとしていることのより重要な部分はこうだ。親愛なる淑女の皆さん、米国はもはやイスラエルを守ることができないという考えに彼らは同意しなければならない。米国はイスラエルに武器を与え、イスラエルは「自らを守る」ことができ、防空システムを買うことも可能である。だが、イスラエルに対するミサイルや爆弾による攻撃を阻止することはできない。」

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関連記事:‘Society is United’: ‘Shocking Nature’ of Hamas Attack Bridged Deep Israeli Divisions: 10 October, 2023, 20:37 GMT

「それができるのは大国の連合だけだ。この連合にはロシアを含まなければならず、それは中国を含まなければならないであろう。そして、彼らが今日目を覚まして、そのことを認めなければならないのが現実なのである。つまり、この戦争が75年にも及ぶ占領を暴露したというだけではなく、米国はいったいイランに影響を与えることなんて可能なのか?いや、可能ではない!米国は、シリアやレバノン、他の国々に対して、世界を支配する他の大国と同じくらい[簡単に]影響力を及ぼすことが出来るのだろうか?いや、出来ない!したがって、米国はこの地域との協力関係を拡大する必要がある。これはウクライナでの戦争に影響を与えることであろう。これは台湾の状況にも影響を与えるであろう。これは存在する主要な紛争のすべてに影響を与えるであろう。」

「そして、この和平の動きを実現する人が誰であったとしても、米国がその動きに参加してはおらず、現在何も関与してはいないことから、戦争に負けた場合よりも遥かに酷く面子を失うことになろう。なぜならば、イスラエル・パレスチナ問題は政治的暴力、不安定さであり、そして、過去の75年の大部分にわたる不均衡な紛争や報復またはそういった状況の典型的な例であるからだ。そして、もしも中国とロシアが、イエメン戦争を解決した時と同じように、米国がいつでも止めることができた筈の問題を見事に解決したならば、それは究極のクーデターとさえ言えよう。それは彼らがキューバを失った時よりもさらに性質が悪い。外交政策部門は平手打ちを喰らって、彼らは決して回復することができないかも知れない。」

『そして、それは単なる真実でしかないのだ。なぜならば、今こそ、そのことを言う必要があるからだ。ここでは、目標はいったい何なのか?イスラエルの人たちよ、この番組を聞いているイスラエルを支持する人たちよ、米国の計画はあなたにとってはいったい何なのか?まさに衝突試験でのダミーのように、これは第三次世界大戦の最前線にあなたたちを配備するためなのか?今、あなたは確かに時計を眺めているに違いない。そして、「イエス様、私はまったく間違っている人々とパートナーシップを結んでしまったに違いありません。今、私はグローバルなパートナーシップとは実際にはどのように見えるのかに関して話を拡張しなければならず、パレスチナの領土は彼ら自身の州と宣言しなければならないかも知れません。そうすれば、彼らはそこに彼ら自身の空港を持ち、彼ら自身の地域を手に入れる。そして、米国はそこに巨大な貨物船または空母を送ることができるから、明らかに安全を保証できる唯一の人々の手によって私たちは安全を保証することができる」』と同活動家は言った。

『しかし、繰り返しになるが、米国にできることは人々を規制するときにはこちらで行っていることと同じことをするだけである。犯罪を止めることなんてできないよね?この地で、警察は弾丸の前に飛び出すようなことはしないよね。絶対に。彼らがすることは、彼らが二度とそれをしないことを期待して、そういったことをする人々を罰することだけなんだ。そして、淑女の皆さん、それは1776年以来機能したこともなければ、モーセの律法以来機能したこともない。それは人間のために働いたことなんて一度もないのだ。明らかに、パレスチナの人々にとっては再分析を行わなければならないことが数多くある。しかし、イスラエルの人々は、今、いくつかの決定を下さなければならない。「ねえ、われわれはグローバルパートナーシップを拡大して、以前は会話をしたくはなかった人々さえをも含める必要がありそうだ。われわれは米国としか話せないと思っていた。中国やロシアとは話す必要はない」さて、今や、和解する方法が他に見当たらないため、これらふたつの国とも話さなければならない。米国と話すだけでは達成できない。』

この問題に関するより詳細な分析については、バックストーリーポッドキャストをご覧いただきたい。

*アルカイダとアル・ヌスラ戦線(Hay'at Tahrir al-Sham)はロシアおよび他の多くの国々で禁止されているテロ組織である。

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これで全文の仮訳が終了した。

極めて平易な言葉でパレスチナ・イスラエル紛争を解説し、将来展望を語ろうとしているこの記事は実に秀逸だ。われわれ素人には持って来いだ。

すでに開始されているガザ地区に対する空爆に続いて、イスラエルによる地上部隊の展開が始まるのかどうかが当面の焦点である。だが、その先はいったいどうなるのか?第三次世界大戦となるのか、それとも、一転して和平が成立するのか。

この引用記事が言うように、イスラエルが米国に何らかの期待をすることはもう止めにすると決断したら、最終的には第三次世界大戦は避けられるのかも知れない。そんな期待も浮かんでくる。中国の仲介によってイランとサウジが国交を再開した時のような展開が欲しい場面である。

ところで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、CIS国家元首評議会の会議で、モスクワはパレスチナとイスラエルの和解を調停する準備ができていると述べている(原典:Russia is Ready to Mediate in Palestinian-Israeli Settlement – Putin: By Sputnik, Oct/13/2023)。問題はイスラエルだ。イスラエルが戦争を回避すると決断しさえすれば、すべては和平に向かって動き出せるに違いない。

しかしながら、それはとりもなおさず米国・イスラエルが今までのパレスチナに対する政策は間違っていたということを真正面から受け止めなければならないことを意味するから、間違いなく根強い抵抗が起こるであろうと私には思える。現在言えることは、残念ながら、極めて悲観的にならざるを得ない。戦争によってもっとも大きな被害を受けるのは常に一般庶民である。

現在の展望が完全に間違いであったと言えるような日が早く来て欲しいものだ。

参照:

1Activist: ‘Damage Already Done’ by False Stories of Atrocities, Despite Media Corrections: By Fantine Gardinier, Sputnik, Oct/12/2023

 



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