最近勃発したガザ・イスラエル紛争に関しては、前回の投稿で「10月7日、パレスチナのハマス武装勢力はイスラエルにミサイル攻撃を行い、イスラエルの占領地域へ武力侵攻した。
さすがのイスラエルの諜報機関もこの攻撃についてはまったく予知してはいなかったという。 一方では、モサドがハマスの動きについてまったく予知し得なかったのはいささかおかしい、これには裏があるのではないかといった憶測も出ている」と書いたばかりだ。
まさにその疑問に答えるかのように、ここに「ガザ・イスラエル紛争は偽旗作戦か、彼らの目標はガザを地図上から消し去るためか」と題された記事がある(注1)。 つまり、イスラエル側はハマスの動きを察知してはいたが、ハマスの侵攻を敢えて許して、ガザ地区に対するイスラエル側の反撃を正当化するためにハマスの奇襲を敢えて成功させたのではないかという見方である。 これはかっての真珠湾の奇襲や911同時多発テロに相似した構図であるとの指摘がある。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
***
これは大量虐殺だ。 絶対的な虐殺である。 彼らは「ガザを地図から消し去ろうとしている。
「イスラエル軍は間もなくガザ北部で広範な攻撃を開始すると発表した。 この警告は約100万人の民間人に向けて同地域からの避難をイスラエルが命じた1日後に出された。 」
ハマスが統治する封鎖地域は、土曜日(10月7日)、ガザ地区の人口の約半数を対象とした大規模な避難命令の影響で大混乱に陥った。 パレスチナ人は徒歩や車、ロバが曳く荷車でガザ北部から避難するのに苦労しており、ガザ地区は飲料水危機の増大にも直面している。
人道団体は避難者らには行き場がないと言う。 隣国がガザからの脱出を誰にでも許可するかどうかを巡って混乱のさなかにあり、ガザからエジプトに向かうもう一つのルートは封印されたかのようだ。
前回のイスラエルによるガザ砲撃よりもさらに強力な攻撃が差し迫っているようだ。 「われわれは間もなくガザ地区を広範囲にわたって攻撃する予定だ」とイスラエル軍首席報道官ダニエル・ハガリ少将は全国放送の演説で述べたが、攻撃の日程については明らかにしなかった。 ( AOL.com、2023 年 10 月 14 日)
はじめに:
2023年10月7日土曜日早朝、ハマスは ムハンマド・デイフ軍司令官率いる 「アル・アクサ・ストーム作戦」を開始した。 同日、ネタニヤフ首相はいわゆる「戦争準備状況」を確認した。
軍事作戦はかなり前から計画されるのが普通だ(以下のネタニヤフ首相の2023年1月の声明を参照)。 「アル・アクサ・ストーム作戦」ははたして「奇襲攻撃」だったのか?
米諜報機関はハマスの攻撃が差し迫っていることは認識してはいなかったと述べた。
『ハマスの侵攻はイスラエルの「諜報の失敗」だったという企業・国営メディアの主張を信じるには、ほとんど絶望的に世間知らずでなければならないだろう。 モサドは、地球上で最も強力ではないにしても、最も実効力のある諜報機関の一つである。 』
ネタニヤフとその巨大な軍事諜報機関(モサド)はイスラエル人とパレスチナ人の無数の死をもたらしたハマスの攻撃をはたして予知していたのだろうか?
ハマスによる「アル・アクサ・ストーム作戦」の発動前に、パレスチナ人に対する全面戦争を行うというイスラエル側の綿密に策定された計画はすでに想定されていたのだろうか?これは、メディアが伝えているように、必ずしもイスラエル諜報機関の失敗であったのではない。 実際には、まったく逆である。
証拠や証言はネタニヤフ政権が数百人のイスラエル人やパレスチナ人に死をもたらしたハマスの攻撃を予知していたことを示唆している 。 そして、「彼らはそれを起こさせた」のである:
「ハマスはイスラエルに2000発から5000発のロケット弾を発射し、数百人のイスラエル人を殺害し、数十人のイスラエル人を捕虜として捕らえた。 その後、イスラエルによる空爆で数百人ものパレスチナ人がガザで殺害された。 」(スティーブン・サヒウニー)
10月7日のアル・アクサ・ストーム作戦の後、戦闘機が230万人のパレスチナ人が住むガザ地区に大規模な爆撃を加えた際、イスラエル国防大臣はパレスチナ人を「人間動物」と呼び、「それに応じて行動する」と誓った・・・」(Middle East Eye)。 2023年10月9日にガザ地区の完全封鎖が 開始され、230万人のパレスチナ人に対する食料、水、燃料、必需品の輸入を遮断し、妨害することになった。 これは完全に人道に対する犯罪である。 これは虐殺だ。
注目に値するのは、ネタニヤフ首相の軍事行動はハマスを標的としたものではなく、むしろその逆である。 彼は230万人の無実のパレスチナ民間人を標的にしており、武力紛争法(LOAC)の4つの基本原則に明白に違反している。
(国際法である武力紛争法によると)「・・・民間人および民間施設(学校や病院、住宅地)を尊重し、保護するため、紛争当事国は常に民間人と戦闘員、および民間施設と軍事目標を区別し、それに応じて作戦の指示をするものとする。 作戦は軍事目標に対してのみ行う。 」[追加議定書第 1、第 48 条]
皮肉なことに、 スコット・リッターによれば、ハマスは米国製の兵器をウクライナで入手したと報告している。
*
これは「奇襲攻撃」ではなかった:
ハマスの攻撃は「偽旗作戦」だったのか?
『私は25年前、IDFの諜報部隊に勤務していた。 イスラエル側がこれから何が起こるのかを知らなかった筈はない。
フェンスに沿って動き回るたった一匹の猫でさえも(フェンスの反対側の)全兵力を起動させ得る。 したがって、今回の場合は??
「世界最強の軍隊」にいったい何事が起こったのだろうか?
なぜ国境検問所は広く開放されていたのだろうか?何かが大きく間違っており、何かが非常に奇妙であった。 これらの一連の出来事は極めて異例であり、イスラエルの防衛システムとして典型的であったとはまったく言えない。
私にとって、この奇襲攻撃は計画された作戦のように思える。 あらゆる面でそう思えるのだ。
もしも私が陰謀論者であるならば、これはディープステートの仕業のように感じると言うであろう。
イスラエルの人々とパレスチナの人々は、再び、より高位の権力者に売り渡されたかのように感じられる。 』 (元 IDF 諜報員エフラット・フェニグソン氏の声明、2023 年 10 月 7 日。 強調を追加)
皮肉なことに、メディア(NBC)は、現在、「ハマスの攻撃にはイランが関与した特徴が見られる」と主張している。
歴史 ― モサドとハマスの関係:
モサドとハマスの関係はどのようなものなのか?ハマスは「諜報機関」なのか?そこには長い歴史的背景がある。
ハマス(ハラカット・アル・ムカワマ・アル・イスラムヤ)(イスラム抵抗運動)は、1987 年にシェイク・アハメド・ヤシンによって設立された。 当初、この組織はパレスチナ自治政府を弱体化させる手段としてイスラエル諜報機関によって支持されていた。
「モサド(イスラエルの「情報特別任務研究所」)のおかげで、ハマスは占領地での存在感を強化することができた。 一方、アラファト大統領のファタハ民族解放運動とパレスチナ左翼はもっとも残忍な形の弾圧と脅迫にさらされ続けた。
実際にハマスを創設したのはイスラエルであることを忘れてはならない。 エルサレム・ヘブライ大学の歴史家ジーブ・スターネル氏によると、 「イスラエル側はイスラム主義者をパレスチナ解放機構(PLO)に対抗させることは賢い策だと考えた」という。 (L'Humanité、フランス語から翻訳)
ハマスとモサドおよび米国諜報機関とのつながりはロン・ポール下院議員が米国議会への声明で 認めている : 「ハマスはイスラエルによって始められたのか?」
「あなたはハマスを知っていますが、歴史を見ると、ハマスがヤセル・アラファトに対抗することを望んでいたため、 イスラエルによって奨励され、実際に始められたことが分かる・・・」(ロン・ポール下院議員、2011年)
この声明が意味するのは、ハマスは「諜報資産」、つまり「諜報機関にとっての資産である」ということだ。
WSJ(2009 年 1 月 24 日)の「イスラエルがハマスの誕生にどのように貢献したか」も参照していただきたい。
コーエン氏によれば、イスラエルはガザのイスラム主義者たちを最初から抑制しようとするのではなく、パレスチナ解放機構とその有力派閥であるヤセル・アラファトのファタハの世俗的国家主義者に対する対抗勢力として、長年にわたってガザのイスラム主義者たちを容認し、場合によっては奨励してきたという。 (WSJ。 強調を追加)
ハマスとの連携はネタニヤフによって確認された:
「袋から飛び出した猫」
「パレスチナ国家の樹立を阻止したい人は誰であってもハマスの強化とハマスへの送金を支持しなければならない」と彼(ネタニヤフ)は、2019年3月、イスラエル国会での彼のリクード党議員との会議で語っている。 「これは、ガザ地区のパレスチナ人をヨルダン川西岸のパレスチナ人から隔離するというわれわれの戦略の一部だ。 」(ハアレツ紙、2023年10月9日。 強調を追加)
この声明はネタニヤフと彼の軍事諜報機関は無実のイスラエル民間人の殺害に責任があることを示唆しているのではないか?
ハマスのための「支援」と「お金」:
ネタニヤフに代わって「ハマスに送金する」ことは「タイムズ・オブ・イスラエル」の2023年10月8日の報告によって確認されている:
「アッバスがパレスチナ国家の樹立に向けて動くのを防ぐために、ハマスはパレスチナ自治政府に損害を与えるパートナーとして扱われていた。 ハマスはテロリスト集団の地位から始まって、イスラエルがエジプトを通じて交渉を行い、カタールからガザ検問所を通じて数百万ドルのスーツケースを受け取ることさえも許可される組織へとその地位を昇格させて行った。 」(強調を追加)
*
軍事的なエスカレーションの危険?:
この「偽旗」作戦は米国の諜報機関や国防総省、NATOとの連携と調整において、数年にわたって慎重に計画されてきた複雑な軍事諜報活動であることについては何の錯覚も持たないようにしようではないか。
同様にして、パレスチナに対するこの行動は潜在的に中東の大部分を飲み込む可能性のある軍事的エスカレーションのプロセスをすでにもたらしている。
イスラエルは、2004年以降、事実上のNATOの(特別な地位を持った)加盟国であり、積極的な軍事および諜報面での連携や占領地域に関する協議に関与している。
ペンタゴンとNATOの両者との軍事協力はイスラエル国防軍(IDF)によって「イスラエルを脅かす潜在的な敵、主にイランとシリアに対するイスラエル側の抑止力を強化する手段である」と見なされている。
NATOとイスラエルの軍事協力の前提は「イスラエルは攻撃を受けている」という点にある。 イスラエルの大西洋同盟との合意は「集団的安全保障」(ワシントン条約第5条)の教義の下でNATOに「イスラエルの救済に来ることを義務付けている」のであろうか?
最近の展開について言えば、中東での米軍の配備はエスカレーションを回避するために進められているとされている。
イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長によると:
イスラエルに敵対する国や組織がうまく状況を活用しようとするリスクは常に存在する。 そして、例えば、ヒズボラのような組織やイランのような国がそれに含まれる。 だから、これはイスラエルに敵対する国や組織がそういった状況を利用しようとすべきではないというメッセージなのである。 そして、米国は、特にエスカレーションを阻止したり、状況のエスカレーションを防いだりするために、この地域にはより多くの軍隊を配備したか、配備してきた。 (ブリュッセルでのNATOの記者会見、2023年10月12日。 強調を追加)
ネタニヤフの「新たな段階」:
パレスチナに対する「長期にわたる戦争」:
パレスチナの人々に対する75年前の戦争(1948年の「ナクバ」以来)の新たな段階を構成するとしてネタニヤフが表明した目的はもはや「アパルトヘイト」、あるいは、「分離」には基づいていない。 この新しい段階は平和を望むイスラエル人に対しても向けられているが、「完全な割り当て」とパレスチナ人の故郷の地からの完全な排除によって構成されている。
「これらは私(ネタニヤフ)が率いる中央政府の基本的な方針である。 ユダヤ人はイスラエルの地のすべての地域に対して排他的、かつ、疑う余地のない権利を有している。 政府はイスラエルの地のすべての地域、つまり、ガリラヤやネゲブ、ゴラン、ユダヤ、および、サマリアでの定住を促進し、発展させる。 」(ネタニヤフの2023年1月の言。 強調を追加)
われわれは「偽旗作戦」の可能性を指摘するフィリップ・ジラルディ博士が行った鋭い分析をご紹介して、読者の皆さんの注意を喚起したいと思う。
ミシェル・チョスドフスキー、グローバルリサーチ、2023年10月8日。
上記のテキストは2023年10月12日に更新された。
*
下記のフィリップ・ジラルディ博士が行った鋭い分析をお読み願いたい。
ガザ・イスラエル紛争は「偽旗作戦」か?
彼らは紛争を起こさせたのか?
彼らの目的は「ガザを地図上から一掃すること」か?
フィリップ・ジラルディ博士、2023年10月8日。
ネタニヤフ、あるいは、彼の内閣の誰かが約一週間前に行った演説を読んだのは私だけであろうか?その演説で彼/彼らは話のついでに「展開しつつある治安状況」に言及したが、それはむしろ(私には)彼らがガザ地区における進展について知っていたのかも知れないということを示唆し、報復としてガザを地図上から一掃することができるようにあの攻撃が起こることを密かに選んでいたことを示唆している。
おそらく、米国からイスラエルに対する「支援」を得るという誓約に依存し、イランを巻き込んで、同国を攻撃するのであろう。
私はこの演説へのリンクを見つけることはできないかったが、それはパレスチナ人に対する別の虐殺の口実として役立つだろうとその時思ったことから、私が読んだ内容についてはかなり強い記憶を持っている。
元諜報員としての私には、イスラエルがガザ地区内に複数の情報提供者を潜伏させてはいなかったということ、集団や車両の動きを拾ってくれる電子聴取装置を国境の壁に沿って配備してはいなかったということ、等はとうてい信じられない。
言い換えれば、よくあるように、すべてが嘘の塊であるかも知れないのだ。
そして、いつもそうであるように、ジョー・バイデンはそれ自体を「守る」ために支払うべく、貧しい小さなイスラエルに数十億ドルを送る準備をしている。
*
読者への注意事項:上の共有ボタンをクリックしていただきたい。 インスタグラムとツイッターでフォローし、テレグラムチャンネルに登録していただきたい。 「グローバルリサーチ」の記事を自由に再投稿し、共有していただきたい。
著者のプロフィール:フィリップM.ジラルディ博士は中東におけるより大きな利益に基づいて米国の外交政策を追求する501(c)3税控除可能な教育財団(連邦ID番号:52-1739023)である「国益評議会」の事務局長を務める。 ウェブサイトは councilforthenationalinterest.org、住所は私書箱2157、パーセルビル、VA
20134で、その電子メールは inform@cnionline.org 。 彼は「グローバルリサーチ」へ定期的に寄稿している。
本記事の出処はグローバルリサーチ。
著作権 © Philip Giraldi and Prof Michel Chossudovsky, Global Research, 2023
***
これで全文の仮訳が終了した。
引用記事の著者らはハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃は偽旗作戦だったと言う。 イスラエル側が奇襲攻撃が起こることを容認したのであれば、イスラエル側の真の目標はいったい何であったのかが問われる。 著者らはガザ地区を抹殺することが目標であると言う。
米国は空母攻撃軍団をふたつも東地中海へ送り込んでいる。 これはパレスチナを支援する勢力には何時でも反撃をするという意思表示であろう。 米空母軍団の存在を承知の上で、レバノンのヒズボラ―やイランはたしてガザ・イスラエル紛争に関与して来るのだろうか?
もっとも直近の展開としては、10月17日、ガザ地区のアル・アリ・バプティスト病院がミサイル攻撃を受け、500人以上の民間人が殺害されたと報じられている。 パレスチナ側はイスラエルがやったと主張し、イスラエル側はイスラム・ジハド勢力がやったと主張。 レバノンのヒズボラ―はその翌日の10月18日を「前代未聞の怒りの日」と名付けたという。 ロシア外務省はイスラエル側はこの攻撃はイスラエルがやったものではないことを衛星画像を使って証明するべきだと述べた。 このガザの病院に対する攻撃の真の犯人はいったい誰であったのかは遅かれ早かれ判明することであろう。
あるジャーナリストはガザ・イスラエル紛争はロシア・ウクライナ紛争に比べて第三次大戦をもたらす可能性が10倍も高いとして懸念を表明している。
混迷が深まるばかりである。
参照:
注1:Is
the Gaza-Israel Fighting “A False Flag”? They Let it Happen? Their Objective Is
to Wipe Gaza Off “the Map”?: By Philip Giraldi and Prof Michel Chossudovsky, Global Research, Oct/15/2023
0 件のコメント:
コメントを投稿