2023年1月26日木曜日

エイブラムス戦車やレオパルト戦車に対してはロボット戦車「マーカー」が投入されるとロゴジンが語った

 

ロシア・ウクライナ戦争が新しい局面に入って行く。つまり、ウクライナからの要請に応えて、すでに報じれらているようにドイツはレオパルト戦車を提供し、米国はエイブラムス戦車を提供すると決断した。

NATOのウクライナに対する軍事的支援は、米国がかねてから言っているように、長期的な動きである。当初、「最後の一兵になるまでロシアと戦う」と、ウクライナに言わせた。これはメディアで何度も喧伝された。米国の戦争企画者はロシア側が戦争努力によって疲弊し、自滅するであろうと見ており、それを期待して、戦争の長期化を狙った動きである。

ただし、米国の軍事行動は過去の事例を見ると、軍事的な成功例はカリブ海の小国を襲った作戦だけであった。そして、もうひとつは一般大衆を洗脳することによって歴史を塗り替えようとするべく世界に配給されたハリウッド映画における米軍の活躍だ。ベトナム、イラク、シリア、アフガニスタン、等での米軍の作戦は失敗に続く失敗であったとの辛辣な批判が専門家の間には見られる。

それにもかかわらず、米軍の軍事行動はどうして続いているのであろうか?それは世界に対する覇権を維持するためだ。ツキジデスの罠に陥っている米国の覇権主義者は自分たちが大失敗を犯したと自覚するまでは延々と軍事行動を続ける。国民の生活にどんな悪影響を与えようが、膨大な数の若者たちが命を失おうが、メディアは「英雄」とか「愛国主義」といった美辞麗句を頻繁に登場させ、声を張り上げる反戦論者には「売国奴」とか「卑怯者」といったレッテル付けが繰り返される。

ここに、ロシア・ウクライナ戦争がエスカレーションしていることを報じた最新の記事がある。「エイブラムス戦車やレオパルト戦車に対してはロボット戦車「マーカー」が対抗するとロゴジンが語った」と題されている(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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副題:ドミトリー・ロゴジンは『ロボット戦車「マーカー」はエイブラムス戦車やレオパルト戦車に対抗して自動的に戦闘する』と語った。

Photo-1: Kevin Fogarty/Reuters, 04:18, 26 January 2023 (UTC)

デジタル化された画像カタログを活用して、戦闘型ロボット戦車「マーカー」はウクライナ軍の戦闘機器を自動的に探索し、攻撃することが可能である。これは、ロスコスモス社の元ゼネラルディレクターと軍事顧問団「皇帝のオオカミ」のドミトリー・ロゴジン特別分遣隊長によってノーボスチロシア通信社に伝えられた。

彼は米国のエイブラムス戦車やドイツのレオパルト戦車を含む西側の戦車について話していることを強調した。「マーカー」ロボットの戦闘バージョンには可視範囲と赤外線範囲のふたつの戦闘目標の画像を含むデジタルカタログが制御システムに組み込まれている」とロゴジンは説明。彼によると、ロボットは優先順位によって目標を独立して選択し、目標に適した火器を用いて攻撃することができる。

ロゴジンは偵察バージョンと戦闘バージョンのふたつの形式の4台のマーカーロボットが、この2月、ドンバスに送り込まれると述べた。

先に、米国政府は軍事支援の新しいパッケージの一部として31台のエイブラムス戦車をウクライナに送ることを決定した。さらに、ドイツ政府の公式代表であるシュテフェン・ヘベストライトはドイツはレオパルト2戦車をウクライナに送ることに同意し、NATOの参加国からの再輸出も承認すると述べた。

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これで全文の仮訳が終了した。

前回の投稿(125日)では、ドイツのショルツ首相は当初ウクライナへレオパルト戦車を提供することについては難色を示していることをご紹介し、さらには、ドイツが戦車を供給すると最終決定した旨をお伝えしたが、この報道でドイツ政府の公式発表が確認された。今思うに、あの一連の動きは米国がエイブラムス戦車を譲渡する確約を取り付けるための作戦であったのではないかとさえ思える程だ。米・ドイツ間の連携プレーだったのではないだろうか。

ここで、ロゴジンの別の発言も拾っておこう。

「マーカー戦闘ロボットが特別軍事作戦に投入されるとのロゴジンの弁」と題された記事がある(注2)。これは少し前の古い記事だ。この記事も仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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軍事顧問団で「皇帝のオオカミ」と称される科学技術センターの長を務めるドミトリー・ロゴジンはロボット複合体である「マーカー」がウクライナにおける特別軍事作戦の戦場で試用されると述べた。

Photo-2

ロゴジンによると、マーカーはすでにボストチヌイ宇宙基地のセキュリティシステムの一部として用いられている。

「今、このロボット(より正確に言うと、ロボットたち ― この種の装置には何種類かがある)はドンバスで戦火の洗礼を受けなければならないだろう」と彼はテレグラムに書いている。

ロボットにはハイテックな監視装置が装備されており、独立して戦闘任務を遂行することができる自動制御システムがあるとロゴジンは付け加えた。

昨年9月、NPOのアンドロイドナヤ・テフニカは、ロシア連邦国家親衛隊とNTCオクラナ(ロスコスモスの一部)の関心を満たすためにマーカーロボットの開発と大量生産について話し合った。

情報源russiart

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これで二番目の記事の全文の仮訳を終了した。

無人で、独立して戦闘に参加するマーカー戦車のドンバスへの投入は実戦で試用し、その能力を確かめ、改善点を見つけ出すことがロシア側の目的のようだ。このマーカー戦車はすでに半年程前から大量生産に入っているという。これはロシアだけが実戦部隊に配備している極超音速ミサイルがウクライナではすでに試用されたこととまったく同様の状況をもたらすことになりそうだ。

こうして、火力の差がロシア・ウクライナ戦争を収束の方向へ導いてくれればそれはそれでいい事なのだが、果たしてどう展開して行くのだろうか。米軍側はあくまでも長期戦にこだわっている。しかしながら、その米国も何十億ドルもの支援をブラックホールのように呑み込んでしまい、その多くの部分は腐敗したエリートたちの間で消えて行き、さらに多くの支援を求めるウクライナを支援し続けることが果たしてできるのだろうか。さまざまな推測が出回ってはいるが、この戦争が米国の目標通りに展開するのか、それとも、米国自身の自殺行為に終わるのかについては現時点では何とも言えない。

その一方で、ロシア側は西側が発動した対ロ経済制裁に対しては驚く程うまく適応していると報じられている。旧ソ連邦が崩壊し、エリツィン政権時代に味わった米国の経済顧問団による資産の略奪を目撃し、極端な困窮生活を経験しているロシア人に言わせると、現行のウクライナにおける特別軍事作戦による市民生活への影響は比べ物にならないほど軽微であるらしい。

先制核攻撃論が頻繁に浮上してくる米国人の精神構造が実に心配だ。米国の軍部が自分たちが持っており、優勢であると信じて来た軍事的能力を使い果たしてしまったと自覚した時、ならびに、ロシア側には極超音速ミサイルが配備されており、米国の対空ミサイル防衛システムでは太刀打ちができないことを自覚した時、所有している何千発もの核弾頭をどのように眺めるのであろうか?戦争という狂気の中、彼らはまっとうな判断ができるのだろうか?

その一方、ロシア側からは先制核攻撃論は聞こえては来ない。核戦力の使用は、ロシア側の主張によると、ロシアが国家の存亡について脅威を受けた場合にのみ使用すると繰り返して宣言している。このロシア側の核ドクトリンは米国側の先制核攻撃論とはまったく違って、あくまでも防衛に徹している。

常識的に考えると、米ロ両国が自国が核弾頭に曝されるのを防ぐ道はひとつしかない。米ロ戦争に変貌してしまったロシア・ウクライナ戦争は手遅れになる前にどこかの時点で米ロの二大核大国が互いに折り合うしかない。

参照:

1Rogozin spoke about the ability of the robot "Marker" to hit tanks Abrams and Leopard: By Lenta.ru, Jan/26/2023

2Rogozin said that the Marker combat robot will be tested in the special operation zone: By Teller Report, Jan/15/2023

 

 

 

 


1 件のコメント:

  1. 補足情報:ロシア側はエイブラムス戦車やレオパルト戦車に対抗する準備を開始

    西側がエイブラムス戦車やレオパルト戦車をウクライナに供与することを決断する中、ロシア側はそれらの動きに対処するための準備を進めている。ここに「ロシアではNATO戦車に対して使用するクラスノポール弾の生産を強化」と題されたRIA ノーボスチの最新の報道がある(2023年2月7日)。

    まずは、ウィキペデイアからの「クラスノポール」弾の説明を覗いてみよう:2K25クラスノポールは152/155ミリ砲から発射される、安定翼を備えた、レーザー誘導型の砲弾。この砲弾はレーザーによって照明された標的に向かって自動的に着弾し、通常はドローンから発射されるが、地上の偵察兵からの支援の下で地上発射も行われる。この砲弾は地上の小型の標的を破壊するように設計されており、戦車やその他の火器、偵察兵が観察できる視野内にある標的に向けて使用される。 

    RIA ノーボスチの最新の報道を仮訳し、補足情報として下記に付け加えておこうと思う:

    ウクライナでの特別軍事作戦の必要性から、ロシアでは誘導型砲弾の生産が数倍に強化された。これはある情報筋によってRIAノーボスチに伝えられた。
    とりわけ、砲兵用榴弾砲に用いられる152 mm口径の高精度誘導砲弾「クラスノポール」の生産が大幅に増加されたと同情報筋が述べている。これらの砲弾はNATOのエイブラムス戦車やレオパルト戦車などの小型の移動する標的を高精度で攻撃することが可能で、これは実際に証明されていると当局の対話者が述べた。
    2022年12月、ロシアがドローンから使用するために修正可能型のクラスノポール砲弾の改造を行ったことが明らかとなった。この152ミリ口径の砲弾には標的に向けて砲弾を誘導するためのレーザー・ポインターが装備されており、あらゆる形式の砲兵システムで使用可能。
    11月にアレクサンドル・スラドコフ軍司令官はロシア軍連隊はすべてがロシア製のOrlan-30ドローンを装備するべきであるとの意見を表明した。彼はウクライナの戦場における米国製榴弾砲の破壊の映像を見せ、ドローンが高精度クラスノポールの飛行軌道を修正すると説明。「Orlan-30とクラスノポールとを組み合わせるだけで、他に榴弾砲の使用は必要ない。そして、貨車にいっぱいの砲弾を無駄にしたり、砲弾を装着し、再装着し、またもや装着するといった必要性はまったくない。1回のレーザー調整と1個の誘導砲弾で1個の標的を破壊する」と記者は伝えている。

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